ゆめぎわ

さくらこちゃんのメモ

パラサイト(기생충)

 

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作中にジョークとして登場した北朝鮮との対比で韓国の資本主義国家としての自我や誇りを感じさせるし、最終的には資本主義での勝利=光だということも、パラサイト自体がめちゃお金のかかったエンタメだという点も、ぜんぶが入れ子の構造になってて見事で美しいなと思った。資本主義に対してこんなに前向きな映画をはじめて見たなと思った。

以下、詳細な感想です。

 

 

シャワーを浴びながら端的に感想を言葉にできて、これだ!と思ったのにメモする前に消えてしまった、ので、本質を掴めない文章をぐだぐだ書きます……

 

資本主義における豊かさを勝ち取ること=幸福として描かれているのがすごく新鮮だった。新鮮だ!と思った自分に驚きがあった。わたしは90年生まれだけれど、日本の私たちの世代は、生まれてきた時から、お金=幸せではなく、経済的発展は見込めないかもしれないけど戦争のない平和で優しい日本社会、ゆとり教育で個を尊重する…という価値観の中で生きてきたのだと気付かされた。

たとえば資本主義に対する批判、資本主義の欠陥を表現するような作品は、過去に見たことがあると思う。お金がなくても幸せになるとか、そういった切り口のものも、芸術分野でも過去にたくさん見たことあった。でも、資本主義そのものは否定せず、レールに乗って勝ち取っていくことがポジティブに描かれているというものをわたしは意外と見たことがなくて、素直に面白いな、と思った。

作中で、ブラックジョークとして扱われる北朝鮮の存在が、韓国の資本主義的思想を浮き彫りにし、ただのエンタメや、韓国国内での格差に関する問題提起で終わらせない役割を果たしていた。自分と関係のない思想や生活の人々を、無意識に見下し茶化す姿勢。そういった無意識な差別が、手を替え品を替え視点を変えて繰り返し描かれていることが、まったく本質的なことではないけれど、的確な指摘である上に、物語の構造としてすごく効いていると思った。

 

また、あんな劣悪な環境でありながら家族の仲が良いこと、兄が父へ敬語なこととか、留学前に置き土産を持ってくる青年、そういう端々に韓国っぽさを感じて面白かった。アイドルやドラマでもよく感じる、人間関係を重視した親密な感じ……、よく、儒教の教えだとか家父長制とか説明されているあの感じ。もしこれが日本映画だったらまず近所づきあいはないだろうし、最初に家族がバラバラになりそう。舞台となる邸宅も、映画の画角に合わせておしゃれで洗練されたセレブっぽく設計されているのが妙にらしくて、もし日本映画だったら、もう少し古くどっしりとした趣きになり、ああいった軽やかさのある家にはならないと思った。新陳代謝の早い軽やかなデザインに美しさを感じた。

 

美術の仕事は最高だし、ポスターもよかった。韓国映画、他にもいろいろ見てみたいな!と思った。

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